先週から米国のメディアはトヨタのリコールのニュースがメイン。何故トヨタが叩かれているか?政治的のモチベーションは?
クドいほどトヨタのリコールがニュースを騒がせていた理由は、対処がもたついたという印象があったところをつけ込まれたからと思う。ハッキリ言わせてもらえば、トヨタの車は絶対的な信頼があり、車業界の超優等生、だからこそ今回の様な大掛かりなリコールがあるとパニックが起こるのである。フォードがリコールしたって、”またか”で済むだろうし、クライシス・マネージメントに慣れっこであるため対処も速やか。
例えば、ウインドーズにウイルスが...というニュースはニュースにならない...だが万が一Macにウイルスが発見された場合は重大ニュースになるだろうし、それによって株価が20%落ちても私は驚かない。
又、これはトヨタの”Tiger Woods Moment"とも言われた。言うまでもなくクライシス・マネージメントとメディア対応に手間取ってるうちに、他の女(トヨタの場合プリウスのブレーキの問題)がボロボロ出て来たのと似ている。タイガーもこの一件が発覚する前は超優等生だった。
ここで、トヨタはアグレッシブに名誉挽回をする必要ある。トヨタやホンダに乗るのはリベラル系のミドルクラスが多い。彼らは教育のレベルが高く(大卒程度という意味)、物を買う際はしっかりリサーチする層である。そういうデモグラフィックを確り理解して、信頼回復に務めるべきだと思う。因に南部のコンサバなオッサンたちは、未だにトヨタのトラックに乗るなんて夢にも思わないタイプが多い。
政治的要因は、ほぼ無視してよいと思う。
昨年GMの再建でもめた際、”GMは潰すべき派=共和党”はトヨタやホンダを引き合いにして、アメ車が如何に醜く壊れ易いか叫びまくった。又、日本やドイツのメーカーの組み立て工場が南部にあり労働組合がない事から、共和党は今回のトヨタ叩きは”労働組合の陰謀”というシナリオでスピンを試みたが効果なし。こんな感じ(ジャック・ウェルチ)。
Toyoda having trouble facing reality of their situation..Govt ownership of GM creates regulatory/Union conflict of interest perception18 minutes ago from web
また、交通局長官の”トヨタの車持ってたら、”即ディーラーにもってけ”という発言は短絡的な失言に過ぎない(あの人共和党出身だし)。
ただし、一つだけ気になるのは、日本の保護貿易に対する批判。政府の車の購買促進キャンペーンは日本車のみが対象であったという事が問題視されていた。米国で夏に行われた”Cash for Clunkers"で得をしたのはトヨタとホンダである事を忘れるべきではない。
24時間のニュース・サイクルは視聴率を稼ぐ為にパニックを更に煽動する。ただ、そのパニックの賞味期限的なものがあり、ひと山超えるとぴたっと止まるのも特徴。
今日のCNN見ていても、ヒステリカルにトヨタの対処にケチをつける者もあれば、冷静にトヨタの規模、問題が初期には不透明であった事からトヨタの対処は妥当であったと言う者もぼちぼち出て来ている。
メルクのVioxx(鎮痛剤)がリコールされた際、歯切れの悪い対処で問題は長期化し株価も打撃を受けた。トヨタの件は、叩かれ方が酷かった分、リバウンドも早い様な気もする...勿論これはマネージメントの裁量次第。