Saturday, May 22, 2010

Revenge of the Nerds / ギーク達の仁義となき戦い (ファンガールの見解)

グーグルのデベロッパー・コンファレンスが催された。焦点はGoogle TVとAndroid 2.2。

Google TVに関して言えば、日本ではソニーとの提携等で嬉々としているせいか"凄い”という印象の報道が多いが、コチラの反応は”WTF"?という感じ。あれなら、TIVOに毛が生えた様なもんだとか、あれって実際一般人は使わんやろ...的な。

Android 2.2に関して言えば, アップル叩きに終始した後味の悪さを書いた記事も少なくない。例えばこれ...

まあ、ライバルの悪口の1つ2つは当たり前。それも、ユーモアを交えてセンス良ければ大成功。ただ、ぐーたらぐーたらライバルの悪口を言うと、聞く方もシラケる。それも、カリスマ性のないギークのプレゼンなら尚更の事。


昔ジョブズがマイクロソフトに関して語った一言“あいつら、単にテイストがないんだよ”...この手のKOじゃないとね。



グーグルのプレゼンを見て思い出したのが、昔の映画"Revenge of the Nerds", 今風に言えば"おたくの復讐”。



ギーク達にとっては、アップルは今まさにDouchebagなのだろう。アップルは、フラッシュを捨て、マルチタスクを意図的に導入せず、スペック拡張より使用感と安定性を選んだ。ギーク達を見切り発車した。

反面, ほぼ6週間に一台のペースで市場に登場するアンドロイド系スマフォンは、電池が短命でも、マルチタスクでフリーズしようが、スペック至上主義を追求。ところが、ブリンは、短命な電池の質問に対して、"それはアプリの問題”と突き放した回答。アップルはハードウェアも作るので包括的に責任持つ。これが大きな違い。

また、アップルはアプリのデベロッパー達に種々な制限をし、閉鎖的と叩かれている。アダルト系アプリも閉め出し。ジョブズは“ポルノを見たけりゃアンドロイドでどうぞ”とハッキリ言っている。アップルは大人の判断でポルノを排除...でなければ、ジョブズは近いうちに米国議会に呼び出されて“言論/表現の自由”等の言い訳をする羽目になるだろう。

ところで、グーグルCEOのエリック・シュミットはつい最近までアップルの取締役会のメンバーだった。アンドロイドの登場もあり、株主達はこれを大変不愉快の思っていた。ジョブズが彼の長居を許した事、今回のコンファレンスでのアップルに対する辛辣な攻撃...昔の映画"Pirates of Silicon Valley"を思いだした。そう、マイクロソフトがウィンドーズでアップルと対抗した一件。結局、ジョブズの一寸の油断が巻き起こした大失策。


それとこれ:



この最後のシーンでジョブズは”自分たちの製品の方が優れている”と言うがゲイツは”そんな事どうでもいい事”と主張。20年以上経過して、ジョブズの主張が実現しつつある。ただ、ジョブズのビジョン優先でVerizonからiPhoneが出ていないのも気になっている。最近のアンドロイドのシェアが増えているのは、WinMo系の弱体化としびれを切らせたVerizonの顧客がアンドロイド機を買ったからでもある。確かにCDMAは後ろ向きのテクノロジーだという意見は多い、でも一般消費者はネットワークの安定性も重視。ATTのパフォーマンスの悪さは、確実にアップルの足を引っ張っている。コチラの方も見切り発車して欲しい。



Saturday, May 15, 2010

オバマ、国の運営アップルに任せたら?

先週、オバマがハンプトン大(歴史的に黒人が多い大学)の卒業式でのスピーチで、"iPod, iPad, Xbox, Play Statationは単に娯楽の為の物であり、集中を妨げる...そもそも自分はそれらの使い方さえ知らん”なんて事を賜った。そのスピーチ聞いた時、“嘘っぱち”としか思えなかった。そもそも、彼はiPodを愛用、家族もキャンペーンのチームも皆Macユーザー。携帯はブラックベリー。彼の大統領選での成功は洗練されたインターネットの活用が大きく貢献したのは誰でも知っている。

何故、オバマがこの様な軽卒な発言をしたのだろうか? 2つの理由が考えられる。1つは、彼の黒人聴衆を前にするスピーチは、説教臭くなる傾向が強い事。以前、これに対してジェシー・ジャクソンもボロクソに言っている。スピーチライターも適当にお説教バージョンのスピーチを用意したのだろう。もう1つ理由は、オバマは毎日の様にどこかでスピーチしており、この原稿は事前に読まずに手抜きをしたのだろう。

とはいえ、この発言に対しての反発も多い。辛口の政治系コメディアンのビル・マーは金曜日の番組で、そもそも歴史上一番ヒップな大統領が何たる事言うんだと...いっその事、アップルに国の運営任せろよとも..

このビデオ、アップルは2:20あたりから登場。




ビルはこんな感じの事を主張(彼のジョークめっちゃオモロいけど、日本語にするとダサイのでごめんなさい):

もし国民がギズモやら使い方わからん奴が良ければマケインとペイレンを選んだろうよ。自分たちは、過去に生きてる場合じゃない。お茶会の連中は国を取り戻したいなんて言ってるけど、オレは自分の国は前向きでいて欲しい(これは見事な駄洒落:Tea baggers say "I want my country back", but I want my country forward.)。何故この国では未だに炭鉱事故やオイル・スピルが起きるんだ?馬の大群の踏み潰されて人が死ぬわけじゃあるまいし、2010だよ...月面で炭坑事故があってもいい時代じゃないの?未だに前世紀からの問題、オイル、多額の負債、環境問題しょいこんでる。中略(コインのコストが額面の2倍かかる事を駄洒落入れてジョーク言ってる)。

アメリカはJobsを得る事に注力すべき...Steve Jobsだよ。アップルならオイル・スピルを解決するに、もっといいアイデアがあるだろう。2001年アップルは音楽プレイヤーをreinvent、2007年に電話、今年はコンピューター。2011年は、アメリカをアップルに任せたら? インフラ、ビジネスモデル、ワークしてないもんは捨てちまえ。例えば、さよなら、米国議会、ハロー、ジーニアス・バー。でもスティーブは名前をこう変えるだろう、“iMerica, Govern Different"。

最近、アップルは例のねこばばされた次世代iPhoneやAdobeの件で弱いもの虐めしているとメディアに批判されがち。久々に、この様なポジティブなジョークを聞いてほっとした。

Friday, May 14, 2010

中国の熱血カリスマ歴史教師

ちょっと前のネタなんだけど、久々にビックリ仰天の話題だし、日本ではまだ話題になってない様なので書いておこうと思った。

中国のCCNNの教育番組に出演する袁腾飞というカリスマ高校歴史教師の話。本や教科書を数冊出し、オンラインでも大人気。注目を集めてるのは彼のエネルギッシュなスタイルだけじゃない...彼の挑発的な発言。

彼は最近、“文化大革命”に関するDVDを出したが、彼はこんな事を賜った。
  • 毛沢東の霊廟にお参りするのはするのはいいが、あれは中国の靖国神社だという事を忘れるな。
  • 毛沢東が1949年以降行った唯一正しい事は、死んだ事だ。
反響は当然凄い。センセーショナルな事書いて金儲けしたいんだろう、恥知らず、売国奴...という感じで。それでも、本やDVDは売れまくりだから本人は笑いが止まらんだろう。

彼が共著した歴史の本の前書きには、"日本の教科書の方が中国の教科書より事実が歪曲されていない。中国の教科書は真実は5%だけであとはナンセンスだ”とも言っている。彼はダライ・ラマを支持し"彼がノーベル平和賞を受賞したのは、中国のチベットへの侵攻に反対したからだ”とも言っている。極めつけは、”人民日報や新華社通信のプロパガンダなんか、北朝鮮人以外は誰も信じちゃいない”。

この先生、ここまでハイ・プロファイルになったら政府も公に彼をサイレンスする事が出来ないと大きな賭け(金儲け)に出たのだろうか? 中国政府に対する挑戦? それとも、中国政府が中国にも言論の自由があるという事をアピールする為の工作の一部?  


先生のビデオ:





ルパート・マードックの罠、ソフトボールとレズビアン

Wall Street Journalがルパートに買収されて以来、従来右寄りであった本誌が本格的に右翼のプロパガンダに使われている。

オバマの指名した最高裁判事候補のエレーナ・ケイガン、申し分のないレジメ、強いて言えば裁判官の経験が無い事。しかし、これは前例が無い事ではない。彼女は現役の訟務長官である..という事は、このポジションに付くため上院の承認を通過しており、数名の共和党議員の票も受けている。それゆえ共和党側は、前回のソトマヨール氏の時の様に大声で反対する事が少し難儀。

そこで登場したのが、'“彼女はレズビアンじゃないか”という噂。手始めに、WSJの第一面のこの写真。
Elena Kagan

ゲイ・ブロガー達は、“この写真は、ケイガンがゲイである事を示唆するために仕込まれた”と抗議しメディアに飛び火。その勢いでルパートの傘下のNew York Postが”ケイガンはゲイ?”なんていう大きな見出しの記事を出した。その記事の横には、ソフトボールをやる女はレズビアンだというエッセイまであった。仕上げは同じく傘下のFox Newsに大騒ぎさせる。メディアはルパートの罠にまんまと嵌った。

彼女のタイプ(ショートヘアの未婚のインテリ)は、残念乍らわれ易い。プリンストン時代からの知り合いのエリオット・スピッツァーは彼女はそうじゃないと知ってると...と名乗りを出ている。でも、こういう噂に火がつくと、消すのが非常に困難。

Colbert Reportでもルパートの巧みなメディア操作がジョークになっていた。


The Colbert ReportMon - Thurs 11:30pm / 10:30c
Confirming Elena
www.colbertnation.com
Colbert Report Full EpisodesPolitical HumorFox News
さて、今日の噂はホワイトハウスはケイガン氏に"あんたゲイ?”って聞いたという事(ワシントン・ポスト)。とはいえ、ハッフィントン・ポストによると、ケイガン自ら”私はゲイじゃない”と申し出たらしい。

アメリカは、まだまだ保守的。聖書がゲイはダメと言うから、ゲイはダメという人が過半数。そういうドグマが許せない私は、最高裁の9人の判事の内一人くらいゲイがいたって何が悪いと思うんだけど。こんな事だから共和党に隠れゲイが鈴なりなのよ。

ところで、何故レズビアンとソフトボール?て事だけど。私も初耳。色々読んでいると、ソフトボールはレズビアン達の好きなスポーツと言われているらしい。

下院の名物議員、バーニー・フランクは自分がゲイである事を公にしている。あるレポーターが“あんたゲイ?”と聞いた時"だから何?”と言い返した。まあ彼はリベラルなマサチューセッツの議員だから、こういう開き直りが寧ろ受けるんだろうが。

こういう嫌らしいメディア操作が可能な空気と、"ゲイの何が悪い”と言い返せない弱腰な民主党...この国はまだまだ精神的な後進国。


Saturday, May 1, 2010

Get rid of crappy stuff - ジョブズはスナイパー商法

昨日、Foxのテック系ギーク番組でソニーの新製品Dashが紹介されて、笑いの種になってた。日本人として誠に不愉快な事といえ、この製品が売れる可能性はないだろう。Dashは卓上タッチスクリーン・ウェブビューアーであり、値段も$200と手頃。でも、これじゃ、ギーク用の目覚まし時計という評価である。

ふと、最近ジョブズがナイキの社長に言ったアドバイスを思いだした。
”GET RID OF CRAPPY STUFF" 笑わされたのは、ジョブズがこう言った後、フォローアップのジョークも笑い声もなかったという事。彼は大真面目。



マイクロソフトはAK47で, アップルはスナイパーだと誰かが例えてた。マイクロソフトは売れない商品も儲からない商品も散弾銃の様に出しまくる、反面アップルは、じっくり狙い撃ちをする様に売れて儲かる物しか出さない。勿論Apple TVの様なはずれもないわけではない。ソニーや日本の家電メーカーはマイクロソフト化している。商品のポートフォリオが多過ぎで儲からない。マイクロソフトの弱点は、社内での横の繋がりが悪い事で、それも類似している様に思える。ただ、マイクロソフトと日本のメーカーの違いは、それでも儲かっている事。ソフトウェアの粗利益率が絶大である為、マイクロソフトは笑われても散弾銃商法が出来る余裕がある。ただ、株価が上がらないだけ。

ビジネスにはそれぞれモデルがあって、スナイパー商法が必ずしも良いとは言えない。ただ、キャッシュフローがなければ先端技術を生み出す余裕が削がれるという事はこの不況を通じて痛感。

韓国勢も最近の台頭ぶりには目を見張るものがある。この2年間に彼らのステータスは向上しており、サムスンのテレビなどソニー並みの評価を得ているのは痛い事実である。日本の家電メーカーにも、以前のモメンタムを取り戻して欲しい。