私が新米銀行員の頃のボスの言葉を、急に思い出しました。当時はラテン・アメリカの不良債権が金融界の最大の頭痛。私は、そのリスケの事務を毎晩遅くまで手伝っていました(電卓の時代です)。
彼が若い銀行員だった頃、得意先の豆腐屋の親父さんから”銀行は霞を喰ってる様なもんだ”と怒鳴られたそうです。多分これはバブルの前の話しでしょう。日本の銀行は長い冬の時代を迎え、政府の援助、統合等で今日に至りました。こんなご時世でも、辛うじて利益を出しています。
一方、米国の金融界は2003-2007年、霞どころかクラック*・パイプを吸っていたのです。ドラッグ・ディーラーは大手投資銀行。警察(政府、証券取引委員会)は、取締まるどころか、ディーラーとグルになり、新しいタイプのデザイナー・ドラッグ(この場合、デリバティブ等)が次々に市場に出るのを手助けしました。ドラッグ・ディーラー達はペーパー上の利益で巨額のボーナスを稼ぎました。
*コカインに重曹(炭酸水素ナトリウム)と少量の水を加えた後、加熱処理したもの。麻薬の一種。骨片状の塊を砕いた形状からこの名称で呼ばれる。化学変化により昇華する性質が生じており、加熱して煙を吸う。コカインよりも急激に効き目が現れるが、持続時間が短く、効き目が切れた際の不快感がより強い。そのため依存に陥り易いとされる。
去年はディーラー達の仁義なき戦いが繰り広げられ、生き残ったのは、ゴールドマンとモルスタのみ。ゴールドマンなんか、住宅ローン債権を顧客に売る一方、裏で空売りしまくったそうです。こんな"狡い”奴だけサバイブしたんです。
アメリカを牛耳っているのは、ワシントンではなく、ゴールドマン・サックスだとよく言われます。また、ゴールドマンはマフィアだと言う人もいます。AIGが救済されたのも、ゴールドマンを助けるためにすぎないのは公然の秘密です。
とはいえ、ゴールドマンもモルスタも今後は銀行として政府の規制に基づいた営業を強いられます。以前の様な傍若無人な商売は出来ません。クラックの時代は終わり、また霞の時代が来たのでしょうか? いや、また新しいデザイナー・ドラッグが出回っています(この件に関しては、後日書きます)。
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